書店内でのワゴン販売サービス

本屋さんに行くと、通路の真ん中にこんな台車が置かれてありました。
本屋さんのワゴン販売サービス?
話題を呼んだ海堂尊のデビュー作『チーム・バチスタの栄光』から早速の2作目、『ナイチンゲールの沈黙』が台車に山積みです。
いや、POPも一緒に載せられているところを見ると、これはこのまま平台として通用しそうです。

これを見て思い出したのが、新幹線の車内販売サービス。
新幹線に乗っていると、1時間に数回はワゴンをゴロゴロと押しながら、お姉さんが「お弁当、サンドイッチ、ビールはいかがですか……」と行き来していく、アレですね。
お弁当にしろ、サンドイッチにしろ、コーヒーにしろ、売られているものはすべて高いし、しかも美味しくないし、ロクでもないことはよく判っているのです。
でもコーヒーだけは日々の生活に欠かせないぼくとしては、お姉さんがやってくるのが見えると財布を握り締めて待ち構え、ついつい「コーヒーください」と頼んでしまう自分がいるのですね。

それですよ、それ。
そんな、「買う必要がない判っていても、売りに来られるとついつい買ってしまう」というお客さんに向けて、お勧めの本を台車に積み、店内をまわるのです。

「『チーム・バチスタの栄光』で一躍ヒットを放った海堂尊の2作目、『ナイチンゲールの沈黙』はいかがでしょうか。医療業界を舞台に一癖も二癖もあるキャラクターたちが織り成す医療業界のミステリ、次々と畳み掛けるかのような物語の展開に、ページをめくる手が止められません……」

書店員の熱いお勧めの言葉に、きっと「お、そんなに面白そうな本なのか」と興味を持ってくれるお客さんも現れるに違いありません。
限られたスペースに、限られた文字数で書くしかないPOPよりも、思いのたけを好きなだけ述べられる「書店内のワゴン販売サービス」。
この販売方法はヒットすること間違いありません。
何しろ、これまでの本屋さんは、店先に商品を並べるだけの「待ち」の姿勢でしか販売してこなかった訳です。
ところが、ここ最近の大手書店は販促POPで販売を仕掛ける「攻め」の姿勢に転じてきています。
その「攻め」の販売姿勢をさらに一歩進めたのが「書店内のワゴン販売サービス」なんですね!
ひょっとすると、「この人がお勧めすれば一躍ベストセラーになってしまう」というカリスマ販売店員も登場する可能性だってありえるのです。