ガス管が危ないその理由とは

今日は特にやることもなかったので昼まで惰眠をむさぼったのち、「このままで人生、堕落してしまう」と危機感を覚え、せめてもの罪滅ぼしにお散歩することにしました。
そんなお散歩はいつもは通らない道へ道へと向かって進んでいくのです。
やがて感じる「ここはどこ? わたしは誰?」という“迷子感覚”に陥ってしまうのが好きなんですね。
そんなぼくは将来、きっとやっかいな徘徊老人になってしまっているかもしれません。
もっともその頃には、GPS搭載のチップが身体のどこかに埋め込まれていて、「徘徊して姿が見えなくなった」となると、すぐカーナビみたいな装置でどこにいるのか判明するようになっているかもしれません。

そんな訳で、今日も迷子感覚で徘徊をしたどこかの街(ってご近所なんですが)の、どこかの坂道に面した、どこかの一軒家。
坂道がかなり急勾配なので、敷地のほとんどが要塞のように高いところにそびえています。
(でも玄関は坂道の上にあるので高低差はゼロ)
そんな要塞のようにそびえるお宅の横に伸びるパイプに、何やら札がぶら下がっているのでした。
パイプに何やら注意書きの札がぶら下がっています
どうせ「駐車禁止」とか、「ゴミを捨てるな」とか、「立ちション禁止」とか、そういった類の注意書きだろうな……と思いつつ、ついつい読みに向かってしまうのが哀しい性(saga)。
すると、何と言うことでしょう、そこにはこのようなメッセージが記されているのでした。

実にデインジャラスなことをさりげなくアピール
ガス管が危ない

ガ、ガ、ガ、ガス管ですか!
そりゃ危ないです。危険です。デインジャラスです。
言われなくても「ガス管は危ない」って判っていますとも。
しかし、よくよく読むと「ガス管は危ない」ではなく「ガス管が危ない」
実にビミョーに言い回しが違うのです。“は”と“が”。
そして、この注意書きにはこのような文字が続いているのでした。

敷地内への乗り入れ 禁止

「乗り入れ」というからには、きっと自動車の乗り入れでしょう。
それがガス管とどう関係するのかよく判らなかったのですが、改めて遠目に見て「なるほど!」
この壁面の真下、ちょっと段差ができている所もこのお宅の「敷地内」という訳なんですね。
ここも「敷地内」なのでした
つまり、路上駐車するクルマがちょっとでも道路にスペースを空けようとこのお宅の壁面ギリギリいっぱいまで寄せて段差に乗り上げると、パイプを傷つけてしまう恐れがある、だから「ガス管が危ない」ということなのでしょう。
いや、実際にはパイプ周りに黄色い保護材が巻かれてあるところから、もう被害にあっているのでしょう。

朝起きて、ご飯の支度をしようとした奥さん。
まずお湯を沸かそうとコンロのスイッチをひねるも、「……あら、おかしいわねえ、火がつかないわ」。
時同じくして、娘さんが学校に行く前に朝シャン(←古!)しようとお湯をひねるも、蛇口から出るのは水ばかり。
そして外からは「ガスくさいわね」「アラいやだ、ガス漏れかしら」と騒ぐ声が聞こえ始め……
「何、ガス漏れ?」と慌てて外に出てみると、見事に我が家の壁面に伝わるガス管が破損しており、ガスがシューシュー漏れ出していて、もう大変なことに……。
どうやら破損状況から、夜中のうちに誰かが路上駐車しようと敷地内に乗り上げ、パイプを破損させたようです。
それからはガス屋さんを呼んでガスを止めなければいけないわ、パイプの破損を修理しないといけないわ、その間はご飯の支度はおろかお風呂も入れないわ、ご近所にカステラ持参で騒ぎを起こしたお詫びにまわらないといけないわ……ともう散々な一日になってしまったに違いありません。
そりゃお父さんも怒り心頭、保護材を巻きつけると同時に注意書きの一つや二つ、書きたくもなるというものです。

が、しかし、このような注意書きよりも、この「敷地内」にクルマが乗り入れできないようにポールを立てた方が効果的だったんじゃないかと思うのですが……。