劇団桟敷童子「海猫街」(ベニサン・ピット)

ぬおう。
すっかり更新をサボってしまって日付が変わっていますが、これは昨日、10月28日のお話です。
そんな訳で、心のスイッチを10月28日に切り替えてみてください。
(いや、別に皆さんがそこまでしてもらう必要はないのですが、あとで日記代わりにぼく自身が読み返したときに勘違いしてしまいそうなので......)

両国のベニサン・ピットで劇団桟敷童子の新作「海猫街」を観に行ってきました。
JRの両国駅から、真っ暗な住宅街をとぼとぼ歩いていると一角だけ明るくなっているところが見えてきます。
ここがベニサン・ピットなんですね。
ベニサンピット入口で受付中
受付はスタッフが行うのではなく、役者自身が舞台衣装とメイクをしたままで行うのでちょっと不思議な感じです。
いつも桟敷童子という劇団は、舞台の設営を「劇場以外の場所」にこだわっているのです。
そしてその周りでは賑やかにのぼりを掲げて、まるで「村のお祭りにやってきた見世物小屋」の雰囲気を醸し出しているのですが、今回の会場はれっきとしたスタジオ。
そんな訳で、今回はロビー内に「舞台となる村」のセットが再現され、そこにのぼりを掲げて、やはり見世物小屋の雰囲気を醸し出しています。
ロビー内に設置された「舞台となる村」のセットと、見世物小屋の雰囲気

やっぱり好きだわ、この劇団の持つ泥くささ。
ステージセットはすべて丸太や板を組み合わせて作り上げただけのもの、また受付・誘導・入場案内の客入れから、アンケート回収やロビーでの挨拶まで、スタッフを使わずすべて役者自身が行うその熱さ。
すごいですね、やはり毎回この桟敷童子は、きびきびとした役者さんの案内の様子を見ていたり、また「どんなセットなんだろう」と会場に入る瞬間が楽しみであったりと、好きになればなるほど、色々と楽しみも増えていくのですね。

ストーリーは、いつもどおりといえばいつもどおりの「桟敷童子」もの。
そして最後にかならず用意してくるステージセットの大仕掛け。
今回もやってくれました、揺れる揺れる舞台が大揺れ。かなり危険なことになっています。
その上で熱演する役者たち。
これはもう、一歩間違えれば転落してしまうスペシャルデインジャラスなステージなんですよ。
ただし、残念だったのは今回の大仕掛けは、以前にも別の公演で前例があるタイプだったので、ある程度「こうくるな」と読めてしまい、驚きはなかったのですね。
またストーリー自体も、眼力のある女優・板垣桃子が主役ではあったのですが、今回は彼女の放つ"見得"もさほど活かされず、そのためか桟敷童子のストーリーの根底に流れる"生きろ節"も、いつもほどキレが感じられなかったのです。
そのためカタルシスを得られまではいかず、消化不良感が残ってしまいました。
ただ、今回のストーリーが「オープニングのエピソードが、そのままエンディングに繋がっている」の展開であったのは、ある意味"倒叙的"な物語として、美しく、そして寂しく切なく終わっていくものであったのは事実なのです。