ん? そこのお前、何か用か?

帰り道、駅から自宅に向かってトットコ歩いていると……
人通りもなく、街灯の明かりも寂しい暗がりから視線を感じるのです!
キャー、キャー、キャー!
しかし、そこはとある会社の塀が延々と続く通り道。
塀の高さは2メートル近くあるでしょうか。
そんな塀から視線を感じるだなんて……ブルブル、いやですよ、わたしゃ。
いやいや、しかしこんな時に慌ててしまっては、もう相手の思うツボなんです。
「コイツ、怖がっているな、よしよし」なんて思われてしまっては、もう勝負はついたも同然なんです。
そんな訳で毅然とした態度を装いながら、ソッと塀の方をさりげなく、本当にさりげなく様子を伺ってみました。
キャー、キャー、キャー!
塀の上には……ネコの生首が!
塀の上には、ネコの生首が!
何しろここは「高さ2メートル近くある塀」の上。
向こうに隠れたネコが覗いているわけではないのですよ。
ああ、生首フィーバー!
もうね、ここは一体『犬神家の一族』か、『翼ある闇』か、『バイバイ、エンジェル』か、一体どのミステリ世界のなかだと言うのでしょうか。
……いやいや、ミステリの話ではありません。ここは確かに現実世界。リアルな世界なんですよ。
でも、そんな日常世界での通り道で、よりにもよって生首だなんて。キャー、キャー、キャー!

しかし……あれ?
やはりよくよく見ていると、塀の向こうから覗いているようにも見えるのです。
とすると、これはどういうことでしょう。
ネコの空中大浮遊ショウ?
それとも顔は平然としているけど、実は手足をメチャクチャ突っ張って塀にしがみついているだけ?
そんな訳で、恐る恐る塀の向こうを覗いてみました。
なんだ、そんなタネが仕掛けられていたとは

脅かすなよっ!