あらしのよるに

「あらしのよるに」といっても、木村裕一とは何ら関係ありません。
ましてや、奇妙な友情はまったく生まれてきません。
ジャニーズでもありません、
とにかく、嵐なんですよ、嵐。猛嵐。

昨日の帰り道だって、雨ザァザァ降りだったので駅から家に歩いて帰ると、ズボンから靴下からパンツまで、ビッショビショだったのですよ。
それなのに、今日はその雨の勢いに加えて、風までもがおそろしい勢いでビュービュー吹きまくるのです。
雨、真横から降っていました。
一応、昨日の天気予報では「(今日は)雨、風とも強くなるでしょう」と言っていたので、骨がしっかりした大きな傘を持って出たのですね。
しかし……あきません。
傘が大きければ大きいほど、風を受ける面積も大きくなってしまうのでした!
あり得ないぐらいに不自然な角度にそり曲がる傘の骨。
人間だったら、完全に骨折ですね。
もういつメリー・ポピンズのおばさんみたいに、飛ばされてしまうかと気が気でありませんでした。

やっとの思いで駅に到着してみると……オゥワッ!
我々人類は、猛威を振るう自然界の前では無力でしかないことを実感することに気が付かされたのでした。
人類が自然界に対して行った無駄な抵抗が、残骸となって死屍累々と積み上げられているのですよ!
死屍累々と積み上げられた傘の残骸たち……
こんな道具ごときで、人類は自然界という脅威に打ち勝つとでも言うのでしょうか。
思い上がるな、人類よ! 地球はお前たちだけのものではない!
猛り狂う風が、まるでそう言っているかのようでした。

ああ、それなのに、それなのに。
駅のキオスクでは、「今日がチャンス!」とばかりに傘が選り取りみどりでズラリと並べられているではないですか。
兵隊の補充はいくらでもきくのです
いまだかつて、キオスクにこれだけ傘が並べられていることは見たことありません。
もう、在庫がある分を全部持ってきたのでしょう。
嗚呼。
まだまだ人間と自然界の戦いは、「資本」という名の巨大な利権が絡みついてきて、容易に終わるわけにはいかないようなのです。
まるでこの傘立ての間から、でっぷり太ってワル顔をした会社社長どもが徒党を組んで、「まだまだいける、キミならいける、兵隊の替えならばいくつでもあるぞ、それ行け、そら突撃!」と突撃ラッパを鳴らしてきているような気がしてなりません。

所詮、傘だって兵隊だってサラリーマンだって、みんなみんな“システムに組み込まれた歯車”のひとつにしか過ぎないのさ、フフッ。