大槻ケンヂ推薦「押絵と旅する男」

これまた夏休み効果なのでしょうか。
本屋さんの文庫売り場ではあの手この手で文庫本を売ろうとする動きが活発に見られるのです。
そんな今日見かけたのが、オオケンこと大槻ケンヂの直筆POP。
『押絵と旅する男』を勧める大槻ケンヂの直筆販促POP
江戸川乱歩の名作『押絵と旅する男 』を勧めるあたり、さすがは大槻ケンヂという気がしないでもありません。
しかし、そのお勧めのキャッチコピーがどうなんでしょう。

一見、熱心に勧めているようですが、よくよく読むとどうもオカシイ大槻ケンヂのコピー
「押絵と旅する男」は
江戸川乱歩の中で
最もちゃんとしていて
萌えていて
美しい物語
しかも短い

どうですか、これ。
確かに"美しい物語"というのは判ります。美しいんです。
しかし、"萌え"るという意味がよく判らないのです。
いや、ひょっとすると大槻ケンヂだからこそ、江戸川乱歩に"萌え"を感じるのかもしれません。
そこはそれ、感じ方は人それぞれあることなので、これもよしとしましょう。

問題は、"江戸川乱歩にしてはちゃんとしている"
これって、言い方によっては乱歩ファンにケンカ売ってますね。
"江戸川乱歩にしてはちゃんとしている"。
まさに、「のび太のくせに生意気だぞ」「ミステリのくせに直木賞を取るのか」並みに理不尽な難癖状態。
もし夏休みの課題で読む文庫本を買いに来た中学生が、大槻ケンヂ先生のこのPOPを読めば、「江戸川乱歩の作品ってちゃんとしていないんだな」と刷り込まれてしまうに違いありません。
そんな中学生が"大乱歩"という呼び方を聞いたときに、「ちゃんとしてない作家風情で"大"をつけられるとは、日本のミステリ界も大したことないんだな、ケッ!」となってしまうに違いありません。
これは由々しき問題ですよ! こんな何気ない一言から若者の活字離れ、ミステリ離れは始まってしまうのですよ!
(とか言いながらも、確かに江戸川乱歩には「芋虫」のようなトンデモ作品もあるのですが)

そして極め付けが、"しかも短い"
もう笑っちゃいましたよ。"しかも短い"
これは本当にお勧めポイントなのでしょうか。"しかも短い"
だったら、筒井康隆の「読者罵倒」や「句点と読点」あたりなんて、もうかなりの大ヒットお勧めポイントになること間違いありません。
何しろ「読者罵倒」で原稿用紙20枚、「句点と読点」に至っては2枚しかない短さなんですから。
ただし、これらの作品では夏休みの宿題の読書感想文がとても書きづらくなるところがマイナスポイントでしょう。
(下手すると作品より感想文の方が長くなってしまいます)

しかしながら、やはり夏休みの読書の第一歩としてのオススメとしては「リブロの100冊」で見かけた『人間椅子』の衝撃キャッチコピー』

再び登場、「キモい」
キモい

よりも、今回の大槻ケンヂ先生の方が"ちゃんとしている"のでしょう。

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