スズメのお宿はここにある

いつも行くガソリンスタンドはセルフ式なのです。
つまり、ガソリンを入れるためにはわざわざ車外に出て自分で行わないといけないのです。
しかし、そのガソリンを入れている間がメッチャ暇なんです。
店員がガソリンを入れてくれる方式では、いつもノズルを挿しっ放しにしておいて、その間に窓拭きなどのサービスを行ってくれるので、きっとノズルを挿しっ放しでもガソリンが出てくる「オート」とかいう設定があるのでしょう。
しかし、なぜかセルフ式ではノズルについているレバーを引き続けていないと、ガソリンが出てきてくれないのです。
必然的に、ノズルを給油口に挿し込んでからはずっとレバーを引きっ放しにしていなければなりません。
満タンになるまでズーッとこのままなのですから、その間が退屈なこと、退屈なこと、この上ありません。
かといって、給油マシンを見ていても、非情なまでのスピードでカチャカチャ上がるメーターと合計金額の表示を見てしまうだけなので、「ゲ、もうこんな値段になっている!」と心臓によくないのです。

そんな訳で、退屈だけど給油マシンの方は見たくないぼくとしては、スタンド内のあちらこちらをキョロキョロ見ていたのです。
すると……おお、アレはいったい何なのでしょうか。
ガソリンスタンドの塀の上で、何やら黒い物体が蠢いているのです。
ガソリンスタンドの塀の上で何やら蠢く黒い影……
この物体、かなりの大きさにも見えます。
そしてさらには、次々と“何か”が飛来してはその物体に吸い込まれていくのです。
「何じゃありゃ……」と思っているうちに満タンになりました。
事務所へお金を払いに行くときに、恐る恐るその黒い物体の傍を通ってみると……
スズメのお宿なのでした
スズメです、スズメ!
それも相当の数のスズメが群となって寄り集まっていたのでした!
こりゃ面白いものをみたなーと、物陰から写真をパシャパシャ撮っていたのです。
フト気が付くと、そんなカメラ野郎のぼくの方を店員のお姉さんがニコニコ笑いながら見ているのです。
ま、まさか……このお姉さん、ぼくに気があるのでしょうか。
それはとても嬉しいことですけど……困ったなあとニヤニヤ。
しかもそのお姉さんと目が合うと、なんと! 大胆にもそのお姉さんがこっちに近寄ってくるのです。
うひゃあ、こんなところで愛の告白なんてされちゃったら、ぼくはもうガソリン並みに気化して蒸発して爆発炎上しちゃいますよ。
近寄ってきたお姉さん、相変わらずニコニコと満面の笑みで「可愛いでしょう」
ええ、ええ、もうお姉さん、あなたはもうサイコーに可愛いお姉さんなんです!
「あのスズメ、わたしがエサをやっているんですよ」
……え? スズメ?
そうです、スズメなんです。
ぼくではなかったのでした。

そのお姉さんから聞くところによると、上司たちには「やめなさい」と反対されているそうですが、それでもコッソリ脚立に登って、塀の上にエサを毎日やっているそうなんです。
しかし、たまに上司が居てエサがなかなかやれないときは、スタンドの中までスズメが入りこんできて、「エサはどこだ」「エサはまだか」とチュンチュン、飛び回って催促しているそうなんですってよ。
お姉さん一人の努力で、そんなちょっとした看板ペットのいるガソリンスタンドになっているのでした。

コメント

こんなにうじゃうじゃいるとスズメもこわい…。

いえいえ、実物はチュンチュンカ、チュンチュカとそれはもう賑やかで可愛らしいですよ。
写真でみるとちょうど右あたりにエサが置かれていて、スズメの団子が出来上がっています。
それよりも、上司から「やめなさい」と言われても、ひとり脚立に上ってスズメにエサをやり続けるお姉さんにZOKKON命(ラブ)なシブがき隊な野郎です(意味不明)。