パパ・タラフマラ「三人姉妹」(スタジオSAI)

そんな訳で、今日は中野まで来ています。
JR中野駅で降り、テクテクと歩き回っていると、何やらモノモノしい警戒ぶりなんです。
あとで判ったことなんですが、この日は小泉さんがやってきていて、応援演説をしていたそうです。
なるほど、それでか!
てっきり我々一般市民の知らないところで警察だけがコッソリと、テロ情報を掴んでいて、それでこの警戒をしているのかと、本気で逃げ出そうかと思ってしまいました。

かの有名な中野ブロードウェイを抜け、5分ほど歩いたところの住宅街の真ん中に、今日の目的地、スタジオSAIがありました。
このスタジオの運営も行っている、パパ・タラフマラの「三人姉妹」再々公演を観に来たのでした。
開場待ちで列をなす

タイトルからも判るように、チェーホフの「三人姉妹」がモチーフになっているとのことでしたが、特に前提知識は不要です。
ステージは、三人のダンサーによる超絶技巧の1時間でした。
とにかく踊って、回って、転げて、走って、隠れて、現れて……と、とにかく休む間もなく動き放し。
さらに作者はオニです。
そんな動きの激しいダンスだけでなく、彼女たちには歌も唄わせ、セリフもしゃべらさせ……と、まるでダンサーの持つ肉体の極限を試すかのようなステージなのですから。
そんな激しいステージに、観ているこちらまでもが息苦しくなるような、そんな緊迫感で満ちあふれるスタジオ内なのでした。

そしてステージも佳境を迎えると、それまで着ていた野暮ったい服装を脱ぎ捨て、ボンデージ風の下着姿になります。
3人とも全身から滝のように汗が流れ落ちているのがよく判ります。
その美しさには、ただ、ただ、圧倒されるしかありません。
何もかにも圧倒されっ放しだった驚異的なステージなのでした。

惜しむらくは、ぼくが座った場所。
整理番号順に入場し、好きな場所に座ればいいのですが、「ケツが痛くなるんじゃないかな」と弱気になってしまい、イス席に座ってしまいました。
それでもスタジオは狭いので、イス席でもその素晴らしさは十分に堪能できますが、やはりステージにキワキワの桟敷席に座っていれば、その迫力をもっと目の当たりにできたのではないかと思うのです。
わずか1時間程度のステージなので、ケツの痛みなんか考えずに桟敷に座るべきでした。

終了後は、トウモロコシ茶の振る舞いと、ゲストに詩人の谷川俊太郎を招いてのアフタートークショーがありました。
谷川俊太郎って、とても攻撃的な考え方を持つ頑固ジジイと勝手に思い込んでいたのですが、話しているところを見ると、意外と好々爺だったのが新鮮で驚きました。

すべてが終了し、超絶ダンサーを含む劇団関係者全員に「ありがとうございました」とお見送りされて外に出ました。
駅に向かって歩いていると、通りかかりのオバサマから「あの、ちょっと、すみません」。
「ハイハイ、何でしょう」と極上の笑顔で振り返るぼくに、オバサマは「そこのSAIさんから出てこられたのですね」。
「そのとおりですよ」と答えるぼくに、オバサマは心なしか声を潜めて、「あそこ、若い人たちがよく出入りしているんだけど、何があるの?」
ひぃ、このオバサマ、カルト集団があるのではないかと不審がっている!
確かに「サイ」なんて名前も、カルトぽいと言えばカルトっぽいなあ……。
そこでちゃんと答えておきましたよ。

「ダンスの公演や、ワークショップなんかをするスタジオのようなものですよ」

「そうですか、どうもありがとうございました」とオバサマは去って行きました。
が……、“ダンス”“ワークショップ”というキーワードから、ひょっとしてオバサマ、「アグラをかいて空中浮遊する」ようなダンスを想像したんじゃないだろうなあ……と心配になってきました。

帰り道、新宿で途中下車して、紀伊國屋書店新宿南店に立ち寄ってきました。
ふと空を見上げると、三日月がピカピカと輝いていました。
ベンチに座って2人の世界を醸し出しているカップルたちに、デバガメと思われたでしょうが、カメラを取り出してパチパチと写真なんて撮りだしてしまいました。
変なオヤジが現れて、2人の世界を邪魔してごめんね。
小田急サザンタワーと三日月。事務所の電気が煌々と灯っているのはマイクロソフト?

自宅最寄駅の改札口で相方と待ち合わせて、前々から気になっていた小料理屋さんで晩ご飯を食べることにしました。
ジャズの流れるおシャレな店内で、何を頼んでもこれがまたメチャウマなんですよ!
あまりの美味しさに、注文した品がくる端からペロリと平らげていたら、ビックリした顔で女将さんから「お腹、すごく空いてるんですか」と訊かれてしまいました。
ええ、ええ、すみません。確かにお腹もメチャクチャ空いているのですが、これがいつものぼくたちのペースなんです……。

新しく料理を持ってくるたびに、もう既に前に持ってきたお皿が空っぽになっているのを見た女将さん、半分意地になったのか、次の料理を急いで持ってきたようなのですが、もう既にぼくたちが食べ終わっていました。
それを見て一言、「ああ、また間に合わなかったわ」
いえいえ、そんなに気を使わないでください。
料理の皿を空っぽにして次を待つというのが、普段のぼくたちのスタイルなんですから。
そして最後、締めとしてお茶漬けを頼んだら、もっとビックリされてしまいました。

「まだ食べられるんですか?」

すいません……これがいつもの量なんです。
お会計は、おそらくこの店での平均的な2名連れでの金額より1.5倍は高かったのではないでしょうか。
ちょっと調子に乗って食べ過ぎちゃったかも……。
前々から気になっていた近所の小料理屋さん