中野のスタジオに来ています

今日は、パパ・タラフマラ「三人姉妹」を観に、中野にあるスタジオSAIに来ています。


タイトルからも判るように、チェーホフの「三人姉妹」がモチーフになっているとのことでしたが、特に前提知識は不要です。
ステージは、三人のダンサーによる超絶技巧の1時間でした。
とにかく踊って、回って、転げて、走って、隠れて、現れて……と、とにかく休む間もなく動き放し。
さらに作者はオニです。
そんな動きの激しいダンスだけでなく、彼女たちには歌も唄わせ、セリフもしゃべらさせ……と、まるでダンサーの持つ肉体の極限を試すかのようなステージなのですから。
そんな激しいステージに、観ているこちらまでもが息苦しくなるような、そんな緊迫感で満ちあふれるスタジオ内なのでした。

そしてステージも佳境を迎えると、それまで着ていた野暮ったい服装を脱ぎ捨て、ボンデージ風の下着姿になります。
3人とも全身から滝のように汗が流れ落ちているのがよく判ります。
その美しさには、ただ、ただ、圧倒されるしかありません。
何もかにも圧倒されっ放しだった驚異的なステージなのでした。

惜しむらくは、ぼくが座った場所。
整理番号順に入場し、好きな場所に座ればいいのですが、「ケツが痛くなるんじゃないかな」と弱気になってしまい、イス席に座ってしまいました。
それでもスタジオは狭いので、イス席でもその素晴らしさは十分に堪能できますが、やはりステージにキワキワの桟敷席に座っていれば、その迫力をもっと目の当たりにできたのではないかと思うのです。
わずか1時間程度のステージなので、ケツの痛みなんか考えずに桟敷に座るべきでした。

終了後は、トウモロコシ茶の振る舞いと、ゲストに詩人の谷川俊太郎を招いてのアフタートークショーがありました。
谷川俊太郎って、とても攻撃的な考え方を持つ頑固ジジイと勝手に思い込んでいたのですが、話しているところを見ると、意外と好々爺だったのが新鮮で驚きました。

すべてが終了し、超絶ダンサーを含む劇団関係者全員に「ありがとうございました」とお見送りされて外に出ました。
駅に向かって歩いていると、通りかかりのオバサマから「あの、ちょっと、すみません」。
「ハイハイ、何でしょう」と極上の笑顔で振り返るぼくに、オバサマは「そこのSAIさんから出てこられたのですね」。
「そのとおりですよ」と答えるぼくに、オバサマは心なしか声を潜めて、「あそこ、若い人たちがよく出入りしているんだけど、何があるの?」。
ひぃ、このオバサマ、カルト集団があるのではないかと不審がっている!
確かに「サイ」なんて名前も、カルトぽいと言えばカルトっぽいなあ……。
そこでちゃんと答えておきましたよ。

「ダンスの公演や、ワークショップなんかをするスタジオのようなものですよ」

「そうですか、どうもありがとうございました」とオバサマは去って行きました。
が……、“ダンス”“ワークショップ”というキーワードから、ひょっとしてオバサマ、「アグラをかいて空中浮遊する」ようなダンスを想像したんじゃないだろうなあ……と心配になってきたのでした。