月蝕歌劇団「ステーシー」とポツドール「ANIMAL」のダブルヘッダー

どうしても行きたいお芝居のチケットをやりくりしたら、今日もダブルヘッダーになってしまいました。
まずは、大槻ケンヂの原作を舞台化した月蝕歌劇団「ステーシー」を観に、阿佐ヶ谷はザムザ阿佐ヶ谷に行って来ました。
しかし、月蝕歌劇団って「アンダーグランド」とか「暗黒」とか、「寺山修司」とか「裏宝塚」、「永遠の十代」などなど、イメージばかりが先行してしまうのですが、実際にはまだ観たことがなかったのですね。
そんな訳で、行きたい行きたいと思いながら早幾年、ようやく今回の観劇と相成ったわけです。

今回の会場であるザムザ阿佐ヶ谷は、住宅街のようなところにある隠れ家的な地下のイベントスぺースなのです。
もうこれだけでアングラ的な雰囲気が十分ヒシヒシと伝わってくると言うものです。
会場の入り口で靴を脱ぎ、手に持って入場し、座布団に座って観るのですが、これがまた大変。
何しろもともとがえらく狭い会場に「これでもか」「これでもか」「まだまだ、これでもか」と、次々に観客を詰め込むものだから、身動きがまったくとれなくなってしまいました。
まさに足の置き場もない、満員電車状態なんです。
しかしこの会場って出入口が小さく、しかも一箇所だけしかないので、もし万が一の場合は、潔く覚悟を決めておいた方がよいでしょう(←おい)。
ええ、一番奥に座ってしまったぼくも、もちろん覚悟を決めていましたとも。

それで見終えての感想ですが、やっぱり「裏宝塚的アングラでダークな少女歌劇団」ですね。
原作にある「少女ゾンビは、165以上の肉片に解体しなければならない」を見事に具現化し、激しく噴き出す血飛沫(客席1~2列目はビニールシートが手渡されていましたが……結構4~5列目まで飛んできました。水にライティング効果でそれらしく見せているだけでしたが)や、ゾンビ化した女子高生たちの痙攣にも似た鬼気迫る動きが、非常にハードでダークなストーリー展開となっていました。
またそれに対比させるかのように美しいのが、少女たちによるコーラスと、ろうそくやハンディ蛍光灯と言った小物を効果的に使用した踊り。
この対比で非常に「静と動」が描き分けられていました。
あと、「裏宝塚的」というのが主役男性役2人の女優(……ややこしい)による激しいラブシーン。
かなりやおい的でした。

終わってみると、あっという間の2時間で、幸いにして避難が必要な非常事態は起こりませんでした。
が、しかし。
せんべいのような薄い薄い座布団の上で2時間も座りっぱなしだったため、終わる頃にはケツがメチャクチャ痛くなっていました。
あまりの痛さに、後でトイレで確認してみたら、ケツがパックリと2つに割れていたほどです。
(当たり前です)
そして、それ以上にキツかったのが場内に漂う“御み足のかほり”。
いや、これはもう“御み足のかほり”というよりも、“ケモノのかほり”ですな。
どうもご近所に強烈な御み足の持ち主がいらっしゃったようで、ぼくは始まる前から酸欠状態になってしまいました。
ぼくの前に座っていた女の子なんて、ずっとハンカチを鼻に当てていましたし。

こういった「靴を脱ぐ会場」に観劇に行く際は、エチケットとしてお出かけ前に「脚用8×4」などでシュッシュしてからお出でくださいまし。
月蝕歌劇団「ステーシー」(ザムザ阿佐ヶ谷)

痛むケツを押さえながら(痔の人みたいだ)、「三鷹市芸術文化センター 星のホール」で行われるポツドール「ANIMAL」を観に、阿佐ヶ谷から三鷹へと移動しました。
ちゅうか、阿佐ヶ谷と三鷹ってこんなに近かったのですね。
おかげで時間が余って余って余りまくってしまって、仕方ありません。
開場まで1時間半もあるのに、もう着いてしまいました。
仕方ないので、ただひたすら歩いて時間をつぶしていたら、なんと隣駅の吉祥寺になんて出てしまいましたよ。
歩き過ぎてしまいました。

ところでこのポツドールの「ANIMAL」、内容の説明がまったくできません。
何やら橋の下にたむろしている若者たち10名の様子が描かれているところは判るのですが、ずっと彼らがラジカセで流している大音量のヒップホップのBGMのため、何を話しているのか、観客にはまったく聞こえないのです。
いや、セリフは確かにあるのです。あるのですが、まったく聞こえない。
(ただし、時折話していることが聞こえてくるので、口パクではないことだけはハッキリしています)
いわば、観客は役者の動きだけで「そこで何が起こっているのか」「彼らは何を考えているのか」「何をしようとしているのか」を推測するしかありません。
しかも役者たちはステージのそこかしこで、それぞれてんでバラバラに動いているので、誰を追えばよいのかも判りません。
例えて言うなら、双眼鏡で若者たちの動きを見ているような、そんなもどかしさが感じられるのです。

ネット上での評判は、どうもよろしくないようなので、ドキドキしながら観に行ったのですが、いやいや、なかなかどうしていいんじゃないですか。
「こんな演劇のスタイルもありなのか」と新鮮な驚きを与えられてしまいました。
そもそも、観客に対してどのようにストーリー展開をアピールするのか演出が難しいでしょうし、演じる方の役者にしてもなかなか難しいと思うのですね。
そう思うと、後からさらに「スゲーな」とジワジワ来るものがあるのです。

ただし、開演時間が1時間チョイとかなり短かったので、非常に拍子ぬけしちゃいました。
そういったところでの、“物足りなさ感”は否めません。
かといって、ただ単純に内容を長く引き伸ばすには、あの大音量BGMをずっと鳴らすのかと行った問題がありますし(BGMを止めると、物語のテーマが変わってしまう)、しかしずっと流されていては、同じ曲をエンドレスで流しているだけなので気が変になりそうだし。
どうしたものでしょうねえ……。

でも、個人的にはかなり気に入ったネタでしたので、今後も気になるところです。
ポツドール「ANIMAL」(三鷹市芸術文化センター 星のホール)